数年前ニューヨークへ転勤したが、昨年母親が死亡しアパートを相続した。アパートの家賃収入はどのような方法で申告し、納税すれば良いのか。
日本の所轄税務署に確定申告書を提出し、納税する。日本で納税した後、米国で還付を受けることができる。
1.非居住者の確定申告
日本国内に住所を有せず、引き続き1年以上外国に住んでいる者は、「非居住者」と呼ばれ税務上一般の居住者とは異なる扱いを受ける。
2.確定申告の手続き
非居住者に不動産所得がある場合は、居住者と同様に、その年の2月16日から3月15日までの間に、日本の所轄税務署に確定申告書を提出する必要がある。この場合、原則的には居住者と同じ方法で所得を計算するが、所得控除については、国内の資産に係る雑損控除、寄付金控除、基礎控除のみが認められている。したがって、配偶者控除や扶養控除などは認められないから注意を要する。
また、非居住者であっても、質問のように国内で不動産の貸付を行う場合などは、税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出すれば青色申告の適用を受けることができる(所法166条の読み替え規定参照)。
3.納税管理人の選任
海外の支店等に赴任し、非居住者になるときは、事前に納税管理人を選任して所轄の税務署に届出なければならない。納税管理人は非居住者に代わって確定申告書の提出や税金の納付等の納税義務を果たすために置かれる。納税管理人を定めたときには、その非居住者の納税地を所轄する税務署長に「所得税の納税管理人の届出書」を提出する必要がある。非居者になった後で納税管理人の選任が必要になった場合は、必要になった時に選任して届出ればよい。
「所得税の納税管理人の届出書」を提出しないで確定申告書を提出しても、確定申告書自体は収受され、特に罰則はない。
また、通常は、日本の税務署に提出された確定申告の内容が、勤務している外国の税務当局に通知されることはない。
4.外国における所得税の還付
質問の場合は、まず米国と日本とで発生した所得を合計して、米国の法令に基づいて納税を行うが、この場合日本と米国との双方で二重に所得税が課税されることになる。この国際間の二重課税を調整するために、米国において、日本で申告した所得税のうち一定額の還付を受けることができる。
実務的には、日本の税務署に提出した確定申告書の控えを、そのまま米国の会計事務所に提出することで足りる。
通常納税者が、米ドルに換算するなどの事務を負担することはない。
上記の記述は、2013年1月14日現在の法令・通達等に基づいています。その後の税制改正や個別事情等により、異なる課税関係が生じる場合がありますのでご注意ください。
2013.1.14