会計ソフトは「買う」時代から、「利用する」時代へ
1.会計ソフトを月額380円で「利用」できる
会計事務所向けオフコン製造大手のJ社(東証1部・本社東京)は、一般企業向け会計ソフトレのンタルサービスを開始しました。
従来は、会計ソフトは「購入」することが常識でしたが、新しいサービスではユーザーは会計ソフトを購入する必要はなく、月額380円のレンタル料を支払うだけで「利用」できます。
2.利用方法は?
具体的には、J社ホームページから会計ソフトをダウンロードし、1ヶ月間無料で利用します。1ヶ月経つとJ社から会計ソフトを継続して利用するかどうかをメールで確認してきます。継続して利用する場合は3ヶ月分・6ヶ月分・12ヶ月分のいずれかを選択して料金を支払います。
3.メリットは?
一般に使用されている弥生会計ソフトは量販店で1本約35,000円、会計ソフトのレンタル方式を採っているTKCでもレンタル料は月額数千円から15,000円程度ですから、新システムは新たに会計システムを導入する新設法人などにとっては初期費用削減のための有効な手段になりそうです。
また、今後予想される消費税の税率改正に対応するには、従来のバージョンアップ料が30,000円程度ですから、税率改正を機会に新システムへの乗り換えを検討することもできます。
4.メーカーの意図は?(推測です)
現状は、弥生会計が会計ソフト市場を席巻しています。J社は数年前弥生会計から自社ソフトへ乗り換えるユーザーに奨励金を出すなどの方策を試みましたが失敗に終わっています。J社は会計事務所向けオフコンの製造販売が主体ですから、会計事務所の顧客である一般企業のシェアを弥生会計に奪われることは、必然的に自社の地盤沈下につながります。
このたびのシステムは「出血覚悟」での販売とも聞いており、「生産者の論理」を押し通すJ社が今後どこまでユーザーのニーズに応えられるのか注目したいところです。
2010.6.11