平成22年度の税制改正で、脱税等に対する罰則が強化されました。これは、実に30年ぶりの改正です。
納税者が修正申告をしたり、更正処分を受けたりした場合、財産等の仮装・隠蔽などがあると認められれば、重加算税が課されます。
しかし、重加算税は実務的にも通常行われる行政罰であるのに対して、今回の改正は刑事罰に関するものである点で本質的に異なります。
刑事罰は、告発・裁判を通して科されるもので、罰金刑や懲役刑がこれに該当します。これを適用されると、金銭的なダメージに加えて社会的な信用を失うなど大きな不利益を被ることになります。
今回の改正の内容としては、例えば、法人税・所得税を不正な方法で免れた場合、改正後は10年以下の懲役(改正前5年以下)もしくは1,000万円以下の罰金(改正前500万円以下)、又はこれらを併科することとされています。
刑事罰については、「いくら以上の脱税」というような金額の基準は設けられていません。したがって理論的には少額であっても刑事罰の対象になり得ますが、実際上は、数百万円程度の脱税については行政罰である重加算税を課すことが多いようです。
今回の改正は、平成22年6月1日以降の違反を対象に適用されます。
2010.5.15