土地の持ち分は、父が2/3で長男が1/3だが、建物の持ち分は、父と長男がともに1/2となっている。父長男は同一生計で、建物は貸付事業の用に供している。父が死亡したので土地について相続税評価額を計算したいが、父のと持ち分2/3について、全て貸家建付地として評価してよいか。
貸家建付地として評価できるのは2/3ではなく、1/2である。余の1/6は自用地として評価する。
1.考え方
土地と建物の持ち分比率が同一であれば問題はないが、質問のように土地と建物の持ち分比率が異なっている場合は、土地のうち貸家建付地として評価する部分の割合に注意する必要がある。
貸家建付地とは、所有する土地に建築した建物を貸し付けている場合の、その土地ことであるから、土地のうち建物の持ち分に対応する部分のみが貸家建付地として評価される。
1.貸家建付地として評価できる割合
父の土地の持ち分は2/3であるが、父の建物の持ち分は1/2であるため、貸家建付地として評価するのは土地全体の1/2である。
父の土地の持ち分2/3のうち、上記1/2以外の部分(1/6)は、貸家建付地として評価できないため、自用地として評価する。
●貸家建付地として評価する土地の割合 = 1 2
●自用地として評価する土地の割合 = 16( 2 3 - 1 2 )
*尚、仮に長男に相続が発生したとすると、長男は持分1/3の土地に、持分1/2の建物を有している、即ち、土地の持ち分以上の持ち分の建物を貸家の用に供しているのであるから、土地の持ち分1/3の全てを貸家建付地として評価する。
一般に、土地の持ち分以上の割合で建物の持ち分を有している場合は、有する土地の持ち分の全てを貸家建付地として評価する。
建物の持ち分 1 2 ≧ 土地の持ち分 1 3
∴ 土地の持ち分1/3の全てを貸家建付地として評価する。
2.小規模宅地の特例の適用について
貸家建付地として評価する上記1/2部分の土地については、貸付事業用宅地等として、要件を満たせば50%評価減の特例を適用できるが、自用地として評価される1/6部分の土地についてこの特例が適用できるかが問題になる。
質問の場合は、自用地として評価される部分(1/6)は、父と同一生計の長男が使用貸借により土地を借り受け、これを貸付事業の用に供しているから、この部分につても特例の適用を受けることができる。
上記の記述は、2021年12月10日現在の法令・通達等に基づいています。その後の税制改正や個別事情等により、異なる課税関係が生じる場合がありますのでご注意ください。
2017.7.12